― 大型・複雑なプロジェクトの現実 ―
大型ビルや複合開発では、設計・構造・性能・運用・出口戦略など判断点が多岐にわたります。
これらをすべて事業主体が自力で整理することは、現実的には大きな負担となります。
PROJECT DECISION ADVISORY
大宮サウスゲートフロント増築プロジェクトにおいて、プロパティー・パートナーズは基本設計および実施設計監修という立場で関与し、オフィスビルの新築・増築計画における設計プロセスと建築プロジェクトの意思決定をサポートしました。
本ページは、大宮サウスゲートフロント増築プロジェクトにおいて、プロパティー・パートナーズが基本設計および実施設計監修という立場で関与し、オフィスビルの新築・増築計画、設計プロセス、事業性検証、建築プロジェクトの意思決定支援を行った記録です。
※全体のビル名「大宮サウスゲート」のうち、今回の増築棟の名称です。
Value-Enhancing Expansion
本プロジェクトは、既存棟に新たな増築棟を新築し、両棟を一体のオフィスビルとして再構成する計画でした。
単なる床面積の拡張ではなく、既存棟を含めた建物全体の性能・価値を見直し、将来にわたって安定した資産価値を維持・向上させることを目的として取り組みました。
プロパティー・パートナーズは、基本設計および実施設計監修という立場から、建築計画・仕様・コスト・将来運用を横断的に整理し、所有者にとって合理的かつ持続性のある判断が行えるようサポートしました。
設計そのものを行うのではなく、設計内容を客観的に読み解き、選択肢とその影響を可視化すること。それが本プロジェクトにおける、私たちの役割です。
投資ファンドの運営者、また上場企業の経営陣には、事業判断を合理的かつ公正に行ったことを将来にわたって説明できる形で残す責務があります。
結果の良し悪しだけでなく、どのような前提があり、どのような選択肢を検討し、なぜその判断に至ったのか。
そのプロセスが説明可能であることが、投資・経営の現場では重要になります。
不動産開発において、設計・施工をスーパーゼネコンや大手設計事務所に任せることは、品質・安全性:実行力の面で極めて合理的な選択です。
一方で、投資ファンドや上場企業など、株主・投資家・関係者への説明責任を負う事業主体にとっては、「どのように判断したか」まで含めて説明できる状態が求められます。
Property Partnersは、設計・施工の実行主体とは異なる視点から、判断前提の整理と意思決定の一貫性を支える“設計プロセス支援”を提供します。
大型ビルや複合開発では、設計・構造・性能・運用・出口戦略など判断点が多岐にわたります。
これらをすべて事業主体が自力で整理することは、現実的には大きな負担となります。
基本設計で決まるのは、後から変更が難しい前提条件です。
これは技術的検討であると同時に、事業判断そのものでもあります。
設計者が判断をまとめる事例は珍しくありません。
しかし、投資ファンドや上場企業ではそれを是としない考え方が一般的です。
施工当事者である設計判断が、合理性・公正性の点で100%完全と言い切れるか。
この問いに対し、投資・経営の立場では慎重にならざるを得ません。
設計・施工の実行力が高いほど、プロジェクトは前に進みます。しかし投資・経営の立場では、意思決定の合理性と公正性を担保するために、
という構造が有効になる場面があります。
プロパティー・パートナーズの役割は、設計や施工を置き換えることではありません。 事業主体が合理的に判断し、その判断を将来説明できるように、 前提・選択肢・影響を整理することです。
実行主体とは異なる視点から、判断の背景を整理する。
当社は、基本設計を担ったうえで、実施設計以降はゼネコンや大手設計事務所に委託し、当社は監修(デザイン監修・設計監修)として参画します。
当社が担うのは、設計そのものの代行ではなく、事業主体が判断できる状態を整えるための整理と確認です。
最終判断とその責任は、あくまでも事業主体にあります。
第三者は責任を肩代わりする存在ではなく、判断の背景を説明できる形に整える存在です。
私たちはCM(コンストラクションマネジメント)・PM(プロジェクトマネジメント)の実績も多く有しています。
一方で、本ページで述べる役割は、進行管理そのものではなく、判断プロセスの整理・一貫性の確認に特化した支援です。
本プロジェクトは、既存建物が有する余剰容積・余剰スペースをいかに具現化するかが最大のテーマでした。
建築に携わる者であれば、誰もが一度は思い至る発想ではあります。
しかし実際には既存建物への影響、法規・構造・施工上の成立性、将来の運用・資産価値への寄与、といった点を総合的に考えると、「本当に実現できるのか」「既存建物にとってマイナスにならないのか」という疑問が先に立ち、慎重にならざるを得ない計画でもありました。
本計画において重要だったのは、単なるボリュームの追加ではなく、既存建物全体にとってプラスとなる前提条件を、基本設計段階で徹底的に整理したことです。
当社は基本設計の段階で、容積活用の成立条件、既存建物への影響整理、将来の運用・資産価値との整合、実施設計・施工段階で無理が生じない前提設定、を第三者視点で整理し、「できるかどうか分からない構想」を「実行可能な事業判断」へと落とし込むプロセスを支援しました。
結果として、本プロジェクトは、余剰容積・余剰スペースの有効活用と、既存建物の価値向上を両立する計画として実現しています。
余剰容積・余剰スペースの具現化のように、成立条件が複雑で判断点が多い計画ほど、 実務上は「やれるかどうか」以上に、「誰がどの責任で決めるのか」が難しくなります。
実行性を優先すれば合理的でも、投資判断としては比較検討や説明材料が不足することがあります。
特に既存建物への影響や将来価値まで含めると、単なる設計作業ではなく、意思決定そのものになります。
実行主体の合理性だけで計画が前進すると、事業主体側の説明責任に必要な判断整理が後追いになりがちです。
既存棟のみの状態から、増築棟を加えることで、敷地全体の印象と機能が大きく変化しました。 単なる建物の追加ではなく、既存棟と新築棟を一体のオフィス群として再構成した点が、本プロジェクトの特徴です。
別アングルで、増築前後の変化を比較できます。
「できる/できない」ではなく、「どの前提なら成立し、どのリスクをどう扱えば投資判断として妥当か」という形に落とし込む工程が不可欠です。
この手法が投資ファンド案件と特に相性が良いのは、ファンド運用においては、結論だけでなく、意思決定プロセスの透明性と再現性も重要になるためです。
投資委員会・レンダー・共同投資家・将来の買主に対し、「なぜこの計画を採用したのか」を合理的に説明できる状態が、資産価値そのものになります。
プロパティー・パートナーズは、基本設計および実施設計監修の立場から判断前提を整理し、「実行できる計画」と「説明できる意思決定」を両立させます。
投資判断の前提とプロセスを整理し、関係者に説明できる状態をつくる。
個別案件の判断を、将来の検証にも耐える形で残す。
実行可能性と説明可能性を両立させ、出口戦略にもつながる判断材料を整える。
増築棟は、単なる床面積の追加ではなく、既存棟と一体で機能するオフィス群として計画されています。
動線、構造、BCP、環境性能、エントランスまで、建物全体の価値を高めるための判断が重ねられています。
増築棟は既存棟と明確に切り離された建物ではなく、両棟の独立性を保ちながら、動線・配置・使われ方の連続性を重視した構成としています。
ビルの内部での2つのビル間の導線に加えて、既存棟と増築棟の1階の間に通路を設け、ここからそのまま2階レベルの中庭へ直接上がることができる立体的な動線を設け、そこから新築棟と既存棟を直結する回廊へと接続しています。
通路および回廊の出口に位置する、ビル2階レベルにオープンコートを配置し、新築棟の全景を見上げながら既存棟へアクセスできる、開放的な中間空間として計画しました。
単なる通過のための動線ではなく、建物全体のスケール感や外観を体感しながら移動できる構成とすることで、増築による分断感を抑え、敷地全体としての一体感を高めています。


基準階は、約500坪規模の無柱空間を確保しています。21mのロングスパン(長手方向約66m)により、一体的で自由度の高いフロア構成を可能としています。
この規模を前提に、執務用途に限らず、研究開発用途や設備集約型の機能にも対応できるよう、構造・設備・平面計画を整理しています。


また、2階の小部屋フロアについては、全エリアでスラブ荷重1,000kg/㎡を確保し、重量機器や特殊用途にも対応可能な仕様としています。


さいたま新都心という立地特性を踏まえ、車利用を前提としたオフィス運用にも対応できるよう、既存棟と合わせて約500台規模の駐車場を確保しています。
専用面積に対する駐車場比率としても高い水準となっており、都内同規模オフィスでは成立しにくい条件を、本エリアに適したインフラとして計画に取り込んでいます。


災害時の事業継続性を重視し、インフラ計画を整理しています。屋上には、1,500kVAの非常用発電機を設置し、テナント用として72時間の非常用電源供給を確保しています。
また、断水・停電時に備え、上水・排水ともに3日分の容量を確保しており、建物としての継続運用を支える計画としています。


既存棟がCASBEE Aランクを取得していることを前提に、増築棟ではZEB Oriented相当およびCASBEE Sランクを取得する計画で、環境性能にも配慮した先進的なビルとなっています。


2階まで吹き抜けとしたメインエントランスは、建物に入った瞬間から視線が大きく抜け、ビル全体のスケール感と開放感を体感できる空間として計画しました。
日常動線に組み込まれたそれぞれの空間が、自然と気持ちを切り替え、創造的な思考へと導く環境を形づくっています
本プロジェクトは、2025年12月に竣工しました。
新築棟単体ではなく、既存棟と一体となったオフィス群としての完成形が、本建物の特徴です。
本ギャラリーでは、大宮サウスゲートフロントの主な設備や、特徴的な空間を中心にご紹介しています。

























※掲載写真について
掲載している建物写真・プロジェクト内容は実際の事例です。人物、打合せ風景、設計イメージなど一部のビジュアルは、プロジェクト内容をもとに制作したCG画像を使用しています。
※掲載写真について
掲載している建物写真・プロジェクト内容は実際の事例です。人物、打合せ風景、設計イメージなど一部のビジュアルには、プロジェクト内容をもとに制作したCG画像を使用しています。
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