用途変更を伴うコンバージョンと不動産価値向上

建物の用途を見直したいビルオーナー様へ

(1)不動産価値を変える「コンバージョン」という考え方

建物の価値は、建物そのものだけで決まるわけではありません。
その建物を、何として使うか。
この用途の違いによって、不動産の収益性や活用方法は大きく変わります。

例えば、オフィスを住居へ、共同住宅をホテルへ、倉庫を店舗へ転換するように、既存建物を別の用途へ転換して活用する考え方を、一般的に「コンバージョン」と呼びます。

コンバージョンは、単なる内装改修やリノベーションではありません。建物の用途そのものを見直し、立地や市場ニーズに合わせて、建物の使い方を再設計するプロジェクトです。

(2)コンバージョンとは何か

コンバージョンとは、既存建物を別の用途へ転換して活用することです。
代表的な例としては、

・オフィスから住居へ
・共同住宅からホテルへ
・倉庫から店舗へ
・事務所ビルからサービスアパートメントへ

といったケースがあります。
既存建物を活かしながら、現在の市場ニーズや事業目的に合う用途へ転換することで、収益性や稼働率の改善につながる場合があります。
一方で、コンバージョンは、建物の見た目や内装を変えるだけでは成立しません。
用途が変わることで、法規、設備、避難計画、消防、運営方法など、確認すべき条件も大きく変わります。

(3)用途変更とコンバージョンの関係

コンバージョンを行う場合、原則として、建築基準法上の「用途変更」が必要となります。
用途変更とは、建物の「法的な用途」を変更することです。
たとえば、共同住宅として建てられた建物をホテルとして使う場合、単に客室の内装を整えるだけではなく、建築基準法上の用途、消防設備、避難経路、設備計画などを確認する必要があります。

つまり、用途変更は法的・行政的な手続きや確認の話であり、コンバージョンはその用途変更を含む、建物活用全体のプロジェクトの呼称です。
コンバージョンでは、用途変更の可否だけでなく、その用途で本当に事業として成立するかまで検討する必要があります。

(4)コンバージョンは単なる「改修工事」ではなく「新規プロジェクト」

コンバージョンで重要なのは、空間をきれいでお洒落にすることではありません。
大切なのは、その建物をどの用途で活用すれば、事業性が高まるのかを検討し対応することです。
そのためには、

・立地条件
・市場ニーズ
・建物の構造
・法規制
・設備条件
・避難計画
・工事コスト
・運営方法
・収益性

などを横断して検討する必要があります。
例えば、共同住宅をホテルへ転換する場合、客室のデザインだけでなく、ホテルとして運営できる動線、設備、消防、管理方法、収益モデルまで含めて考える必要があります。
その意味で、コンバージョンは単なる「改修工事」ではなく、建物の用途と事業性を再設計する、建替えに近いプロジェクトと言えます。
つまり、既存建物を生かした「新規プロジェクト」と考えるべきものです。

(5)なぜコンバージョンが必要になるのか

コンバージョンが検討される背景には、既存用途のままでは十分な収益が見込めない、という課題があります。
例えば、オフィス需要が弱いエリアであれば、オフィスとして募集を続けるよりも、住居や宿泊施設など別用途への転換を検討した方がよい場合があります。

また、インバウンド需要が強いエリアでは、共同住宅やオフィスをホテル・サービスアパートメントへ転換することで、より高い収益性を目指せるケースもあります。

もちろん、すべての建物がコンバージョンに向いているわけではありません。立地、構造、法規制、工事費、運営体制によっては、既存用途のまま改修した方がよい場合もあります。

重要なのは、最初から工事内容を決めることではなく、その建物にとってどの用途が最も合理的かを見極めることです。

(6)なぜ築浅マンションをホテルへ転換するケースがあるのか

コンバージョンは、老朽化した建物だけで行われるものではありません。
近年では、築浅の共同住宅をホテルやサービスアパートメントへ転換するケースもあります。これは、建物が古いから再生するというより、不動産アセットとしての収益性を見直すための判断です。

共同住宅は比較的安定した運用が見込める一方で、供給量も多く、エリアや取得価格によっては、ファンドが求める利回りを確保しにくい場合があります。特に都心部では、投資対象として魅力的な物件を取得すること自体が難しくなっています。
そのような場合、共同住宅として運用するのではなく、ホテルやサービスアパートメントとして活用することで、より高い収益性を目指す選択肢が生まれます。

もちろん、ホテル運営は共同住宅よりも運営リスクが高く、需要変動、稼働率、運営体制、法対応などの課題もあります。しかし、立地や市場ニーズが合えば、共同住宅よりも高い収益を期待できる可能性があります。

つまり、築浅マンションのホテルコンバージョンは、単なる用途変更ではなく、安定運用型のアセットを、より高いリターンを狙うアセットへ転換する事業判断です。
言い換えれば、ローリスク・ローリターンに近い共同住宅から、ミドルリスク・ハイリターンを狙う宿泊系アセットへ転換する取り組みとも言えます。

(7)建物の価値は用途で変わる

不動産の価値は、築年数や建物のグレードだけで決まるものではありません。
同じ建物でも、どの用途で運用するかによって、収益構造や投資価値は大きく変わります。

特に近年は、オフィス需要、宿泊需要、インバウンド市場、働き方の変化などによって、不動産に求められる役割そのものが変化しています。
そのため、従来用途のまま運用を続けるだけではなく、立地や市場ニーズに合わせて、建物の用途や運営方法を見直すことが、不動産価値向上につながるケースがあります。
もちろん、すべての建物がコンバージョンに向いているわけではありません。

立地、法規制、建物条件、工事コスト、運営体制などによっては、既存用途を維持した方が合理的な場合もあります。
重要なのは、「工事をすること」ではなく、
「その建物にとって、どの用途が最も事業性に合っているのか」を整理、検討することです。

(8)コンバージョンには経験とノウハウが必要になる

コンバージョンは、理論上は一級建築士事務所などの専門家に依頼すれば対応できるものと思われがちです。
しかし実際には、コンバージョンは新築以上に経験やノウハウが問われるケースが少なくありません。

新築であれば、用途に合わせて最初から建物を設計できます。
一方、コンバージョンでは、すでに存在している建物を前提に、別の用途として成立させる必要があります。

そのため、既存構造、柱の位置、階高、配管ルート、避難経路、採光、消防設備、容積率、既存法適合、工事条件、運営方法など、さまざまな制約を整理しなければなりません。

つまり、コンバージョンで求められるのは、理想の設計を描くことではなく、既存建物の制約の中で、どこまで事業として成立させられるかを判断する力です。
さらに、用途変更を伴うコンバージョンでは、建築、法規、消防、構造、設備、運営、収益性、工程、行政協議が複雑に絡みます。

そのため、一級建築士資格を持っていることと、実際にコンバージョン案件を成立させられることは、必ずしも同じではありません。
特にホテル転換やサービスアパートメント化のような案件では、法的に可能かどうかだけでなく、実際に工事が成立するか、運営できるか、収益が合うか、工期やコストが現実的かまで含めて検討する必要があります。

コンバージョンは、単なる設計業務ではなく、既存建物の制約を整理しながら、事業として成立させる総合的なプロジェクトです。だからこそ、実務経験による判断と、各分野を横断して整理するマネジメント力が重要になります。

(9)大手に依頼すれば成立するとは限らない

また、コンバージョンは大手設計会社や大手施工会社に依頼すれば必ず成立する、というものでもありません。
特に収益性が重要なテーマになるプロジェクトでは、費用対効果が極めて重要になります。
どれだけ高度な設計ができても、設計費や施工費が膨らみすぎれば、事業として成立しない場合があります。

コンバージョンでは、遵法性を確保しながら、設計・施工コストを抑え、竣工後の運用まで見据えて全体を組み立てる必要があります。そのためには、単に一社へ丸投げするのではなく、そのプロジェクトに相応しい専門家を集め、法対応、設計、施工、コスト、スケジュール、運用をトータルに企画・調整するマネジメント力が求められます。

つまりコンバージョンに必要なのは、会社の規模だけではなく、プロジェクトごとに最適な体制を組み、事業として成立する着地点まで導く実務力が問われます。

(10)まとめ

コンバージョンは、単なるリノベーションや内装工事ではありません。
建物の用途を見直し、市場ニーズや収益性に合わせて、不動産の活用方法そのものを再設計するプロジェクトです。

そのため、建築デザインだけでなく、

・用途変更
・法規対応
・消防計画
・設計施工
・工事コスト
・収益性
・運営方法
・スケジュール管理

まで含めて整理する必要があります。
また、既存建物にはそれぞれ異なる制約があり、新築以上に経験や実務ノウハウが求められるケースも少なくありません。特に近年は、築浅共同住宅をホテルへ転換するように、単なる老朽化対策ではなく、不動産アセットの収益性を見直す目的でコンバージョンが行われるケースも増えています。

重要なのは、「工事をすること」ではなく、
「その建物を、どの用途で活用するのが最も合理的なのか」
を見極めることです。

プロパティー・パートナーズでは、用途変更を伴うコンバージョン、収益モデルの検討、設計・施工マネジメントまで含め、建物ごとの条件に応じたバリューアップ支援を行っています。

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