2024.8.13 セットアップオフィスによる空室対策
目次
1.セットアップオフィスによる「空室対策」をご検討中のビルオーナー様へ
(1)安易に採用すると思わぬ失敗も~特定のニーズに絞るリスク
現在、「セットアップオフィス」は人気があると言われており、施工会社等のセールストークに乗って検討されているビルオーナー様も多いかもしれません。
しかし、「セットアップオフィスとは|多様化した内装形態を実例付で徹底解説|メリット・デメリットや営業現場の解説付き」と言う記事でのご説明からおわかりのように、「普通内装のオフィス」は万人向けの「相手を選ばない」オフィス形態であるのに対して、「セットアップオフィス」の本質は「特定のニーズ」に的を絞った「相手を選ぶオフィス形態」だということがポイントです。
「セットアップオフィス」というオフィス形態が「最近、人気があるらしいから」と採用してみたら、なかなかテナントが決まらない、という結果に陥るケースがあるのも、このリスクに対するプランの検討、対策が不十分、あるいは、そもそもセットアップオフィスの採用が良くなかったからかもしれません。
(2)セットアップオフィスの採用がいいとは限らない
上記のデメリットの説明でいえば、4の「企業毎の多様なニーズにマッチしないケースがある」という点が、ビルオーナー様から見た最大のリスク要因の本質です。
特に冒頭の定義の箇所でご説明したオフィス家具まで全て用意した「フル・セットアップ状態」の「セットアップオフィス」は、最も相手を絞り込んだ形態なので、そのリスクを十分に認識して採用する必要があります。
これからは、多様性の時代ですから、それを承知の上で的確なプランとリーシング戦略に基づくのであれば、「フル・セットアップ」が悪いということではなく、ケースによっては、それがベストな選択である場合もあります。
しかし、最初から「セットアップオフィス」ありきではなく、市場と物件の諸要因を分析し、ハーフセットアップや普通内装のオフィス、あるいは、デザイナーズ内装のみ、といった幅広い選択肢から比較検討したうえで決定すべきです。
(3)「適切な内装プランニングとリーシング」を!
単に「作れば貸せる」とか「つくって終わり」とはいかないのが「セットアップオフィス」です。
つまり、普通内装のオフィス以上に、「どこまで、何を、どのように、セットアップすべきなのか」という「内装プランニング」と施工後の「リーシング戦略」という2つのポイントの両方を適確に検討、実行しなければ期待通りの成果は出せないということです。
もし、こうした点に不安を抱えたままで検討されておられるようでしたら、プランニングから設計施工まで、さらに、テナント募集等の管理運営までトータルにサポートできる当社に、是非、ご相談ください。
当社は、まずは「セットアップオフィス」や「リノベーション工事」ありきではなく、そのオフィスを本当に「セットアップオフィス」にした方がいいのかどうか、といったところから、真にビルオーナー様の立場で空室対策の戦略企画立案までご提案させて頂きます。
ご参考に「セットアップオフィスにはリーシング戦略が不可欠」と言う記事もどうぞ。
2.セットアップオフィスのテナント更新時の問題
(1)セットアップオフィスの2回転目はどうすべきか?~原状回復義務の条件設定
セットアップオフィスと言うオフィス形態が人気となり、供給数もかなり増加してきていますが、それに伴って、当初の入居テナントの退去後、つまり「2回転目はどうするか」という課題が発生してくるケースも増加してくるものと推測されます。
そもそも、オフィス家具や内装を全て更新して原状回復する、という条件で賃貸できていれば、また「セットアップオフィス」として募集できますが、そこまでの原状回復は求めない、という契約条件で賃貸しているケースの場合、それは「居抜きオフィス」と同じになってしまいます。
どのような原状回復義務の契約にするかという条件設定により、この選択肢の幅も変わってきます。
【2回転目以降の選択肢】(スケルトンや普通内装にすることは例外として除外します)
①当初の状態に原状回復して「セットアップオフィス」として募集する。
②「居抜きオフィス」又は「居抜きセットアップオフィス」として募集する。
③ハーフセットアップオフィスの状態にして募集する。