1.パイロットオフィスとは?
最近、「パイロットオフィス」というものが官公庁等を中心に流行の兆しを見せているようです。
あまり聞きなれないワードなので、新しい言葉、新しい形態のオフィスかと思いがちですが、最初に使われたのがいつかはわかりませんが、1980年代に以降には既に「パイロットオフィス」を導入した企業は既にいくつもあるようです。
そもそも、「パイロットオフィス」とはどういうものでしょうか。もちろん、ここでいうパイロットオフィスのパイロットは「飛行機の操縦士」という意味の方ではなく、その「パイロット」の一番の意味の「水先案内人」から転じた言葉です。
この「水先案内人」という意味から、飛行機の操縦士もパイロット、と呼ばれるようになりましたが、もう一つ、よく使われるのがビジネス用語等としての「試験的に行うもの」という意味で使われるケースです。
つまり、「パイロットオフィス」とは「試験的に導入されるオフィス」ということで、そういう意味では驚くような斬新な用語でもなんでもなく、数十年前からそのような取り組みをした企業があっても全く不思議はありません。
つまり、驚くような新語でもないし、試験的なオフィスを作ること自体もずっと以前からあってもおかしくないので、特段の新語としてブームにならずに、普通に存在してきたオフィス形態の一つである、それが「パイロットオフィス」なのです。
2.なぜ今パイロットオフィスなのか?
言葉の意味から誰もが予想できる形態のパイロットオフィスでしたが、なぜそれが今、改めて斬新なオフィス形態がごとくに流行の兆しを見せているのか、と問えば、おそらくほとんどの方がすぐに答えを当てられるはずです。
そもそも、「パイロットオフィス」の意味からすれば、「そんなこと、ずっと前からうちでもやったことあるよ、ニュースにならないだけで」という企業もたくさんあるでしょう。
そう、今、流行し始めていると感じる理由は、実は「パイロットオフィスを導入したことをニュースにして流すこと」がトレンドになりつつある、まさに、このブログ記事で取り上げているようなことも含めて、それが流行の兆し、と感じる第一の理由でしょう。
そして、パイロットオフィスを導入する理由と、ニュースにまでしたくなる理由の最大の要因こそが皆さんが予想した通りの「働き方改革」の流れであり、そして、さらに日本の昭和の時代のオフィスのあり方を一変させる「コロナ禍」が起きたことです。
今は幸いにして既に「アフターコロナ」と言える時代に突入しましたが、コロナ禍の数年の間に、在宅勤務が普通にできる環境が整いました。
IT技術がどんなに進んでも破壊できなかった「昭和のオフィス文化の壁」が、皮肉なことにコロナ禍で一気に進展した、そういう意味では、コロナ禍はオフィス業界における産業革命を引き起こした、という面もあったのです。
世界中で多数の死者が出て、けっしてコロナの良い面などという言い方で一つとして礼賛できるようなものではありませんが、そういうことを引き起こしたのもコロナの一面であるという歴史的事実は残ったのです。
さて、言葉の意味から予想ができるパイロットオフィスの内容を詳しく説明する必要もないとは思いますが、今回の「パイロットオフィス」の意味は、とりわけ「働き方改革×アフターコロナ」という多くの企業が取り組もうとしている、いや、取り組まざるを得ない、「今そこにあるオフィスの課題」を端的に表すことができることでもありますので、一応、以下に要約しておきます。
3.令和の時代のパイロットオフィス
今の時代にニュースになっている事例の殆どが、新しい働き方やオフィスデザイン、テクノロジーの導入を試験的に行う、従業員の生産性向上やエンゲージメント向上を目指す、というのが主流と思われます。
(つまり、パイロットオフィスを導入することそのものも、その企業や公共団体の先進的な良いイメージを発信できる、というメリットもある時代だからこそ、ニュースにもなるのでしょう。)
4.最近の流行と特徴
①ハイブリッドワークスペース
リモートワークとオフィスワークを組み合わせた柔軟な働き方をサポートするオフィスデザイン。
②デジタルツールの活用
クラウドベースのコラボレーションツールやプロジェクト管理ツールの導入。
③健康とウェルビーイングの重視
従業員の健康をサポートするためのフィットネス施設やリラクゼーションスペースの設置。
④エコシステムの構築
オープンイノベーションを促進するために、スタートアップやパートナー企業と連携するスペースの提供。
フレキシブルオフィスの形態として、シェアオフィスの個室をサテライトオフィスとして利用する企業も増えました。
写真はシェアオフィス、レンタルオフィスの「PREMIUM OFFICE 秋葉原」の個室。
コワーキングスペースと、1名用~8名用までのレンタルオフィス(個室)を備えており、4名上用の個室は都市型サテライトオフィスとして利用する企業もあります。
5.「働き方改革」と「パイロットオフィス」の関係
①目的の一致
働き方改革とパイロットオフィスの両方が、労働生産性の向上や従業員の働きやすさを追求している。
働き方改革の施策を実践する場として、パイロットオフィスが有効である。
②実証実験の場
新しい働き方やテクノロジーの効果を実際に試すためのパイロットオフィスは、働き方改革の進捗を測るための重要なツールとなる。
成功事例を基に、他の部門や企業全体に展開することができる。
③フィードバックループ
パイロットオフィスで得られたデータやフィードバックは、働き方改革の施策の見直しや改善に役立つ。
実際の効果を検証しながら、より効果的な働き方改革を進めることが可能になる。
以上のように、総じて、働き方改革の流れとパイロットオフィスの流行は、相互に補完し合いながら、現代の多様な働き方を支える重要な要素となっています。
さて、ここで「パイロットオフィス」をお考えの企業様にひとつのご提案があります。
パイロットオフィスを、費用をかけて本格的なオフィスのリノベーションを行う前にトライしてみる、ということをお考えの場合、シェアオフィスを、ある部門とかのサテライトオフィスとしてしばらく利用してみるという方法です。
このご提案の内容については、次のブログ記事にて。