前回のブログで、費用をかけて本格的なオフィスのリノベーションを行う前の「パイロットオフィス」として、シェアオフィス、あるいはレンタルオフィスを、ある部門とかのサテライトオフィスとしてしばらく利用してみるという方法についてご提案しましたので、その内容とメリットについてまとめてみました。
1.都市型サテライトオフィスとしてのシェアオフィス利用
そもそも、シェアオフィスの一形態としてのレンタルオフィス、つまり「個室」については、従前から、個人のフリーランス、起業家のスタートアップ用オフィスや、弁護士や税理士等の「士業」の事務所といったSOHO的な事務所ニーズのある方がユーザーとして多い、ということに加えて、4名以上とか多人数でも使えるやや広めの個室については、企業オフィスの分室、つまり「サテライトオフィス」としてのニーズで借りるケースもそこそこ存在しています。
もちろん、多人数用の個室以外でも、最近では1名部屋とかコワーキングスペースも、いわゆる「タッチダウンオフィス」というニーズで別の場所に広い本社オフィスを持つ企業が、フレキシブルで多様な働き方を導入する、といったニーズでシェアオフィスを活用するケースもあるでしょう。
このサテライトオフィスには、例えば、地方企業等が遠隔地である東京に分室を持ちたい、というケースと、東京都内に本社のある企業が近い場所に分室を持ちたいというケースがあり、後者のような場合は「都市型サテライトオフィス」と呼ばれています。
いずれにしても、独立した支店、支社を出すほどの規模は必要ではなく、数名が駐留できるオフィスをローコストでかつ、準備期間などを短縮して早期に開設したい、といったニーズには、シェアオフィス、レンタルオフィス(以下、レンタルオフィスも含めて「シェアオフィス」と言います。)をサテライトオフィスとして利用するのが手っ取り早いということです。
シェアオフィスというのは近年人気が出た「セットアップオフィス」の機能も持っており、こういうサテライトオフィスのニーズにはマッチしているのです。
2.令の時代のパイロットオフィスの目的とは
このように、支社の代わりの分室機能としてシェアオフィスを借りるというのは、広い意味でいえば、将来の本格的な支社、支店に拡張するための「パイロットオフィス」的な役割も持っているケースも普通にあるものと思われます。
しかし、今回、流行しつつあるパイロットオフィスは、こうした従前からある支店の先行拠点、といったサテライトオフィスとは異なる目的が主流です。
つまり、支店、支社の先行拠点は、従前のオフィスの形態と何も変わらない、地理的な拠点の拡充でしかありませんでしたが、今、流行しつつある「パイロットオフィス」の主な目的は、従来のオフィス、わかりやすく言えば「昭和の時代の金太郎飴的なオフィス」と異なる、新しいオフィスのあり方を模索することが潮流となっている、ということです。
3.シェアオフィスをパイロットオフィスにするメリット
従来の地理的な拡充を目的としたサテライトオフィスとしてシェアオフィスを利用するのはもちろん、今後も従来同様のメリットがあると思いますが、自社にとっての新しい形態のオフィスのあり方を探りたい、という令和の時代の企業オフィスにとっての最大の課題の解決のために、「パイロットオフィスとしての都市型サテライトオフィス」としてシェアオフィスを活用してみることに、実は大きなメリットがあるのではないでしょうか。
そこで、そのメリットを列挙してみます。
①オフィスとして必要な機能が既にセットアップされているので、ローコストでかつ早期にスタート可能。
②カフェのような内装のコワーキングスペースと個室が同居しているシェアオフィスだと、「リラックスと集中とコミュニケーション」という3つのクリエイティブオフィスの要素の効果を試すことができる。
③オフィスの改革が「働き方改革」という目的の場合、フレキシブルな働き方ができる場所としてシェアオフィスで試すことができる。
④短期間でも契約できるので、いくつか性質の異なるシェアオフィスを探して利用してみることで、自社に合うオフィスのイメージを確認することができる。
⑤オフィスのリノベーションを考えている場合には、「PREMIUM OFFICEシリーズ」のように中古オフィスビルのフロアをリノベーションしたシェアオフィスを実際に利用することで、自社が必要とする機能やデザインの参考にできる。
このように、シェアオフィスを「働き方改革」のためのパイロットオフィスとして一定期間利用してみる、というのはローコストで手軽にできるため、とても相性が良いと言えます。
4.シェアオフィスをパイロットオフィスにする場合のデメリット
逆にデメリットとしては以下のような点が考えられます。
①予めオフィス機能がセットアップされており、また内装も作り込まれていますので、ゼロベースからいろんなことを試したい、自由にしたい、ということができない、一定の制約があります。
②必要な広さの部屋が、必要なエリア内で空室があるとは限りません。
③コワーキングスペースは他の入居者もいるので、社員同士の機密情報的なコミュニケーションは避ける必要があります。
④コワーキングスペースが賑やかなコミュニケーションを許容していないケースもあります。
5.まとめ
このように、シェアオフィスをパイロットオフィスとして利用してみることには、デメリットもありますが、ニーズがマッチするならデメリットは殆どないと言ってもいいのかもしれません。
大きな予算をとって大規模なオフィスのリノベーションをやろうとする場合、大きな失敗を避けるためにも、あるいは、事前に新たな発見をしてリノベーションに反映させるためにも、手軽でローコストに自社に合ったオフィスのあり方を探ることができるというシェアオフィスの利用は、十分に検討の余地があると言えるのではないでしょうか。
「行きたくなるオフィス」創りのご参考に~「REMIUM OFFICE 秋葉原」
当社が運営するシェアオフィスの「PREMIUM OFFICE 秋葉原」は中古オフィスビルをシェアオフィスにリノベーションした物件です。
このシェアオフィスは、コワーキングスペースとレンタルオフィス(個室)が併存するタイプで、規模的には100坪程度の広さがあり、これをシェアオフィスとしてでなく、一つの企業のオフィスとしてみた場合に「フルパッケージ型の行きたくなるオフィス」の要素がほぼ含まれていることから、「働き方改革」や「クリエイティブオフィス」としてのオフィスの検討をされる場合のパイロットオフィスとしてのご利用にもマッチするのではないでしょうか。
フルパッケージ型の「行きたくなるオフィス」についてはこちらのページをご覧ください。
「ABW」のパイロットオフィスのご参考にも
ABWは「Activity-Based Working」の略で、働き方を従来の固定のオフィスデスクから、特定の活動に基づいて柔軟に選択できる形態に変える多様な働き方の一つを指しますが、このABWを目的としたパイロットオフィスにもシェアオフィスの利用はとてもマッチします。
ABWについては、こちらのページをご覧ください。