空室区画を貸しやすくするには?(オフィスの場合)

リノベーション・内装改修・セットアップオフィスによる賃貸区画改善

(1)空室区画をただ募集するだけでは決まりにくいことがある

賃貸ビルでは、空室区画をただ募集するだけでは、なかなか成約につながらない場合があります。

立地や賃料条件に大きな問題がなくても、室内の印象が古い、入居後の使い方がイメージしにくい、競合物件と比べて選ぶ理由が弱い、といった要因によって、検討対象から外れてしまうことがあります。

空室区画を貸しやすくするには、単に募集を続けるのではなく、テナントに選ばれやすい状態へ整えることが重要です。

そのためには、建物や区画の条件を見ながら、内装仕様、家具、会議室、照明、天井、床、設備、共用部とのつながりなどを見直す必要があります。

(2)テナントが入居後をイメージできる空間にする

空室区画を見るテナントは、その場所で自社がどのように働けるかを考えます。
例えば、オフィスの場合であれば、

・何人で使えるのか。
・会議室を設けられるのか。
・執務スペースはどのように配置できるのか。
・来客対応はしやすいのか。
・オンライン会議や集中作業に対応できるのか。

何もない状態の空間では、こうしたイメージが湧きにくいことがあります。
そこで、内装仕様やレイアウトの見せ方を整え、入居後の使い方を想像しやすくすることが重要になります。

たとえば、会議室を設ける。
家具を配置する。
照明を整える。
床や壁の印象を変える。
天井を見せる。
執務スペースの使い方を分かりやすくする。

こうした改善によって、空室区画は単なる空いたスペースではなく、働く場所として検討しやすい賃貸区画になります。

(3)リノベーションで貸しやすさを高める

空室区画の改善では、リノベーションが有効な手段になる場合があります。
ただし、ここでいうリノベーションは、単におしゃれな内装にすることではありません。

・テナントが使いやすいか。
・働く場所として自然に見えるか。
・入居後の追加工事を抑えられるか。
・ビル全体の印象と合っているか。
・投資に対して成約しやすさの向上が見込めるか。

こうした点を踏まえて、必要な改修内容を整理することが大切です。
過剰に作り込みすぎると、テナントの自由度が下がったり、投資回収が難しくなったりする場合があります。
一方で、何も手を入れなければ、競合物件と比べて印象が弱くなることもあります。
大切なのは、物件ごとの条件に合わせて、工事費用に対する費用対効果を適確に見積もって貸しやすさにつながる改修を行うことです。

(4)セットアップオフィスという選択肢

オフィスの空室対策として、近年、セットアップオフィスがかなり一般化してきました。

あらかじめ家具や会議室、執務スペース、照明、内装などが整っていることで、テナントは入居後の使い方をイメージしやすくなります。移転時の初期費用を抑えたい企業や、短期間で業務を開始したい企業にとっても、検討しやすい賃貸区画になります。

しかし、人気の一方で、セットアップオフィスにはメリットだけでなく、デメリットもあります。

・内装や家具に一定の投資が必要になること。
・想定したターゲット企業と空間の仕様が合わなければ、かえって検討対象が狭まること。
・家具や設備の更新、管理、原状回復の考え方を整理しておく必要があること。

こうした点を踏まえると、セットアップオフィス化は、物件ごとの条件を見ながら慎重に判断する必要があります。

また、セットアップオフィスは、エリアやオフィスの規模によって向き不向きがあります。
たとえば、スタートアップ、分室、プロジェクト拠点、小規模チームの移転需要があるエリアでは、初期費用を抑えてすぐに使えるセットアップオフィスが検討されやすい場合があります。
一方で、企業が自社仕様で内装をつくり込みたいエリアや、一定規模以上のオフィスでは、あらかじめ作り込まれた空間が制約になることもあります。

小規模区画では、家具や会議室を整えることで利用イメージを伝えやすくなります。
一方で、大きな区画では、テナントごとの働き方や組織構成に合わせたレイアウトの自由度が重視される場合もあります。

そのため、セットアップオフィス化を検討する際には、立地、面積、賃料帯、ターゲット企業、投資回収、運用管理のしやすさを整理したうえで判断することが重要です。

セットアップオフィスは、メリット・デメリットを十分に理解したうえであれば、空室区画を貸しやすくするための有効な方法の一つになります。
ただし、目的は「家具付きにすること」ではなく、テナントが入居後の使い方を具体的にイメージしやすい状態へ整えることです。

(5)内装仕様・家具・会議室・照明をどう整えるか

空室区画を貸しやすくするうえで、内装仕様は重要です。
床、壁、天井、照明、家具の印象によって、空間の見え方は大きく変わります。

たとえば、オフィスの場合であれば、
・天井をハーフスケルトンにして開放感を出す。
・照明を整えて明るく見せる。
・床や壁の素材感を見直す。
・会議室や打ち合わせスペースを設ける。
・家具を配置して働き方を想像しやすくする。

こうした工夫により、テナントは入居後の使い方をより具体的にイメージできます。
特に小規模から中規模のオフィスでは、入居後に大きな内装工事を行う負担を避けたい企業もあります。
そのため、あらかじめ使いやすい状態に整えた区画は、検討されやすくなる場合があります。

(6)募集条件やターゲットもあわせて考える

例えば、オフィス場合、空室区画を貸しやすくするには、空間だけでなく、募集条件やターゲットも重要です。

・どのような企業に使ってもらいたいのか。
・何人規模の利用を想定するのか。
・初期費用を抑えたい企業を狙うのか。
・デザイン性を重視する企業を想定するのか。
・家具付きにするのか、自由度を残すのか。

ターゲットが曖昧なまま改修すると、結果として誰にも選ばれにくい空間になることがあります。
賃貸区画の改善では、内装、家具、設備、募集条件を一体で考えることが大切です。

また、募集時の見せ方も重要です。

・写真で魅力が伝わるか。
・図面やレイアウトで使い方が分かるか。
・内覧時に働くイメージや生活イメージを持ってもらえるか。
・賃料や契約条件と空間の価値が合っているか。

空室対策は、単に工事をして終わりではありません。
改修後にどのように募集し、どのようなテナントに伝えるかまで含めて考える必要があります。

(7)Logran御徒町の事例

Logran御徒町は、賃貸オフィス区画を、テナントに選ばれやすいセットアップオフィスへ再構成した事例です。

ハーフスケルトン天井や内装仕様、家具、空間の見せ方を整えることで、入居後の使い方をイメージしやすい空間へ改修しました。
この事例で重要なのは、単に内装を新しくしたことではありません。
空室区画を、テナントが働く場所として想像しやすい状態に整えたことです。
天井の見せ方、家具の配置、照明、内装仕様を組み合わせることで、空間の印象と使いやすさを高めています。

空室区画を単なる募集スペースとして見せるのではなく、賃貸区画としての魅力を高めた事例といえます。

(8)まとめ

空室区画を貸しやすくするには、ただ募集を続けるだけではなく、テナントに選ばれやすい状態へ整えることが重要です。

内装仕様、家具、会議室、照明、天井、床などを見直し、入居後の使い方をイメージしやすい空間へ改修することで、検討されやすい賃貸区画になります。

リノベーション、セットアップオフィス、内装改修、賃貸区画改善は、空室区画を貸しやすくするための手法です。

ただし、どの方法が適しているかは、物件によって異なります。

立地、面積、賃料帯、ターゲット企業、投資回収、運用管理、募集条件を踏まえながら、その区画に合った方法を選ぶことが大切です。

関連事例:Logran御徒町

関連ページ:ビル・不動産プロジェクトのバリューアップ支援

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